地域をよくするウワサのあの人にインタビュー!毎月、市民活動に取り組むプレイヤーをご紹介。活動に関わったきっかけや、どんな役目を果たしているのか伺う中で、活動への多様な関わり方が見えてきました。
竹内 春華さん
42歳/山古志住民会議、小さな山古志楽舎、集落支援員
1980年魚沼市旧広神村出身。2人の息子を含む三世代6人家族。2011年からは夫の実家である和島から山古志までの距離を毎日通っている。
「何やってるの?母ちゃん」 子どもが肩越しに見る竹内さんのスマホには、仮想空間「メタバース山古志村」で談笑する野菜のキャラクターたち。「子どもたちには仕事か遊びか、わからないと思います。実は私もその境目はわかりません」。2021年12月、代表を務める山古志住民会議で独自の電子住民票「NishikigoiNFT」を発行し、メタバース※やオンラインチャット上で「デジタル住民」との交流を始めました。
魚沼市出身の竹内さんが山古志に初めて関わったのは中越地震の後。ハローワークで見つけた「生活支援相談員(災害ボランティア)」に応募したのがきっかけです。その仕事内容は、当時仮設住宅に避難していた住民たちとの対話やサロン活動を通して、安心安全な暮らしの実現に向けた手助けをするというものでした。
住民たちは自らの復興に向けた取り組みの中で、中間支援人材という、いわばよそ者である竹内さんを、想いを共有する“わたしたち”の中の一人として受け入れてくれました。彼女はそれに共鳴するように、住民の帰郷後も、引き続き復興支援員という震災復興に関わる立場で、それまで行ってきた対話や交流の場作りを続けていきました。
山古志地域の人口が1,000人を切ろうとしていたとき、竹内さんは「今度は私が関わりしろをつくっていければ」と感じ、オンラインという、距離や時間を超えた関わり方を模索し始めました。幸運にもそれに向けた協力者が見つかり、デジタル住民というこれまでにない、地域との新たな関わりしろが生まれたのです。
デジタル住民は、山古志を題材にしたイラストを描いたり、実際の景色を模したメタバースを作ったり、実際に現地を訪れたりと、思い思いに地域と関わっています。最近では現地の雪かきに参加したり、地域課題にも目を向けたりと、より興味の幅が広がっています。「新しい技術を受け入れたり、よそ者を歓迎する、山古志の人たちの精神性は特別なもの。私が感じたような、『“わたしたち”の山古志』という気持ちを、地域を超えてより多くの人の心に抱いてもらえることを願っています」。
※あたかも現実世界の様な体験ができる、インターネット上に置かれた3次元の仮想空間
本記事は、らこって2023年5月号でご紹介しています。
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