Nagaoka Players PLAYER

更新日:2024.03.19

つながるラジオ|倉又司さん

こちらの記事は、つながるラジオ「NAGAOKAPLAYERS」で放送された倉又司さんの音声データを文字起こししたものです。

♪オープニング
このコーナーは、地元長岡を元気に盛り上げる市民の力を週代わりで突撃取材。その名も「つながるラジオ」
このコーナーはながおか市民協働センターの提供でお送りします。
噂のあの人にインタビュー。NAGAOKAPLAYERS フー!

=本編=

山田光枝さん(以下:山田)-つながるラジオ。今週は長岡市内で活躍する個人の方にスポットライトを当てたNAGAOKAPLAYERSです。
今回のナビゲーターはながおか市民協働センターの田中さんです。田中さん、よろしくお願いします。

田中佳苗(以下:田中)―はい、よろしくお願いします。

山田-さあ、田中さん、今日どんな方からお話聞けるんでしょうか。

田中―はい、今回ご紹介するのは倉又司さんです。倉又さんはご自身の経験から、聞こえる聞こえないに関係なく、いろんな人が手話でコミュニケーションが取れるようにしたいという想いがあり、 手話を楽しく学び、使えるようなイベントやワークショップを企画、運営されています。
また、今回はですね、倉又さんの収録に手話通訳の方にご協力いただいています。

山田-私、初めて倉本さんに今日お会いしたんですけれども、オレンジ色の鮮やかなニットの帽子、そして左胸にはのびのびと書かれたコーヒーカップのロゴの入った あのお洋服着てらっしゃるんですよね。とっても明るそうな方で、私、お話聞けるのが楽しみです。

倉又司さん(以下:倉又)―すみません、この帽子はハゲをごまかすために被ってます。

山田―いや、とってもですね。ユニークで面白い方なんですよ、倉又さん。あの表情も素敵ですし、手話もね、ユニークなんですよ。
ご家族がいらっしゃるんですよね、倉又さん。

倉又-はい。とても優しい家内。それと、とってもとってもかわいい息子と娘がいます。

山田―お子さんのお話はですね、それこそ2時間、3時間あっても足りないというお話がありましたので、ちょっと深堀りしないですけれども。 奥様のお話もじゃあ、ゆっくり聞かせてもらいましょうかね。

倉又-あ、それは結構です。はい。

山田―あの、聞いたところによると、かかあ天下というお話だそうです。

倉又―えっっとですね。いや、そんなことはないですよ。

山田-いや、いいですね、すごくね。あの、面白い方なんですよ。ぜひね、倉又さんにも会いに来てもらいたいなと思っておりますが、倉又さんはそもそもどちらにお生まれになったんですか。

倉又―はい、糸魚川です。

山田―どういったきっかけで長岡にいらっしゃったんでしょうか。

倉又-はい。地元の小学校に通っていたんですけれども、ま、手話を知らなかったんですね。で、毎日毎日大変な思いをしたんですけれども、ろう学校があるということを知って、小学校の見学に行ったら、 子どもたちがみんな楽しそうに手話でおしゃべりしているんです。先生もみんなで手話なんですね。それを見てすごいなと思って、この学校に入りたいと思ったんです。

山田-お生まれになった頃から耳は不自由であったけれども、最初から手話を使ってコミュニケーションしていたわけではなかったんですね。

倉又-そうなんです。口話教育というのが主流でしたので、親もその考え方に従って 口話で育ててくれました。なので、手話というのがあるということも知りませんでした。

山田-実際にその学校に入ってみてどうでしたか。

倉又-ほんとに楽しかったですね。手話のおかげで自分の気持ちを表現できるようになったんです。

山田―学校を卒業した後というのは、お仕事をされたわけですよね。

倉又―はい。やはり周りは聞こえる人ばっかりでしたので、私だけが聞こえませんし、コミュニケーションも難しかったんです。しかも、細かい部品を扱う 工場でしたので、マスクをして。部品に影響しますので、マスクは取れないんですね。
メモも禁止、筆談ができなかったんです。なので、私はもうどうしていいかわからない状態でした。

山田―確かに、私たちにとっては当たり前の職場環境でも、耳が聞こえない方にとっては、マスクをしていたら口元が見えない、 メモが使えなければ筆談もできないという状況。これはやっぱりその立場にならないとなかなか分からないことなのかもしれません。
で、その後に、今度はろう学校に関係する指導員を務めたそうですね。

倉又-あ、そうです。そもそもそのろう学校は県内に1つか2つあるというのが普通なんですね。 で、そのために遠方から通ってくる子供たちもいるんです。
その子供たちが毎日毎日遠くから通うのは大変ですので、その子たちのために過ごせる場所、それがろう学校の寄宿舎なんです。で、私も糸魚川から長岡ろう学校に通うのが大変でしたので、寄宿舎に入っておりました。
この寄宿舎の先生になって社会に送り出してあげるお手伝いをしたいなと思ったんです。

山田-実際にこう指導員として8年間も務められましたけれども、その指導員での生活はいかがでしたか。

倉又-子どもたちはとってもエネルギーがあるんです。で、夢もあるんです。
いろんなことを大人になると諦めたりしますけれども、子どもたちはそういう諦めもなくて、こういうことをやりたいと元気にお話をしてくれるんですね。それをそのまま実現できたらいいなと思いました。

山田―いや、素敵だと思います。耳が聞こえる聞こえない、障害があるない関係なく、みんなが夢を叶えられる場所が増えてくるといいな、なんて思いますね。
そういう中で、実際に、今はですね、のびのび楽しい手話ワークショップという活動をされていると伺っています。これ、具体的にはどういったことをしているのか、教えてください。

倉又-建築会社の方からのお声がけがあって、 ビルの中で基本的な手話を楽しんで指導することを、やってみたんです。その時に、 手話を教えるだけではなくて、楽しむということが大切だなと。それを目的に、自分たちも参加者も楽しめるような場所に したかったんですね。でも、ちょっと寒くて、そこが。また、参加者の中には、緊張で手話がなかなかこう、出てこないような方もいらっしゃいました。
初めての企画でしたので、私としても、様々な反省点があります。

山田-でも、それをきっかけにして、今はですね、手話を使ったワークショップ、カフェ、 バー、そしてSUPなどもあると伺っていますので、この辺り、ちょっとね、詳しく聞いてみたいと思うんですけど、手話カフェっていうのは、どういうものなんですか。

倉又-見附市にある「あり村キャンプ場」。そこにある古民家 をお借りして、1日手話カフェをやりました。
参加者も私も、みんな一緒にコーヒーなど飲み物を飲みながら、手話で楽しくお話をするというイベントです。
あり村キャンプ場の代表の方からのご協力もあって、当日はたくさんのお客様に来ていただきました。来られた方々が1日2杯、3杯とコーヒーを飲んでいただいて、まあ素晴らしいお客様だなという風に思いました。

山田―ぜひねカフェに行った時には、1杯といわず、2杯、3杯とね、飲んでいただきたいなと思うんですけど。これ、実際、倉又さんがコーヒー入れてらっしゃるんですよね。

倉又-そうです。さまざまなコーヒーのプロの方から教えていただいて、そのおかげで 自分なりにコーヒーを入れて提供できるようにもなりましたけれども、まだまだだと思っています。
実は、裏話ですけれども、私は手話でお話をしていますけれども、手話は手を使いますね。
で、聞こえる方々は、カフェのイメージとしては、オーナーがコーヒーを入れながらおしゃべりができる。私は右手でケトルを持ってコーヒーを入れて、左手はテーブルで体を支えて いますので、手話ができないんですね。なので、相手の方は手話でお話をしてくれて、すごく嬉しいんですけれども「今入れてる最中だから待ってね」ってなっちゃうんですね。

山田-もうね、あの通訳者の方がだいぶマイルドに手話をね、通訳されてらっしゃるのがよくわかるくらいにですね、あの倉又さんの表情がとってもね、楽しいです。はい。なるほど、そういうね、ご苦労もあるわけですね。
そして、手話バーというものもあるそうなんですが、ここはお酒が出るんでしょうか。

倉又-そうです。もともとお酒を飲みながらおしゃべりするのが大好きなんですね。
手話バーをやれたのは市民協働センターの皆さんのおかげなんですね。

山田-これは実はNPO法人市民協働ネットワークが行っている、昨年の夢のためプロジェクトにも採択をされたということでしたけれども、田中さん、このあたり、 皆さんの反応というのはいかがだったんですか。どのあたりがやっぱり評価されて金賞に輝いたんでしょうか。

田中―そうですね、まずはこう、手話が身近でない方が圧倒的に多かったというところが1つあったと思います。
そんな中、経験から来るアイデアだったからこそ、いろんな方にとって、「あ、これは地域に必要だな」というふうに、思ってもらえたんだと思いますし、そこに対してすごく共感が得られた企画だったんじゃないかなと思いました。

山田-そしてもう1個、手話SUPこれはなんですか。

倉又-長岡市にあるひらくという お店があるんですね。ご存知ですか?
そのひらくのオーナー田中さんに会いに行くためにひらくに行ったんですね。
その時に会った方がSUPをやってる方だったんです。なので田中さん、ひらくがなければSUPはやってなかったかもしれないです。

山田-田中さんきっかけになってますね。

田中-ありがとうございます。あのひらくの話をわざわざ出していただいてありがとうございました。
紹介した知人の方は手話の方は全然わからなかったと思うんですが、紹介してすぐほんとに見てるこっちも腹がよじれるくらい、 2人がすごい意気投合しているのがわかって。で、その後も、お2人ですごい関係が続いているっていうのも、すごく私も見ていて嬉しかったですし、私たちってやっぱり手話がわからないので、話しかけていいのかなっていうふうに思っちゃうと思うんですけど、そういう、壁を倉又さんは感じさせないというところが、1つ、私たちにとってはすごく大きいなと思っていて。
手話を勉強してみようかなって思いますし、やっぱり一緒にいて楽しいなと思うきっかけを作ってるのは、むしろ倉又さんなのかなという風に思いました。

山田-ま、こういったところ、皆さん参加される方の反応っていうのはどうなんですか。

倉又-私のような聞こえない人、どこのイベントに行っても聞こえることが当たり前という感じですよね。 なので、私たちとしては参加しにくい、参加してもあまり楽しめない。でも、 私がやった企画ですとろう者のみんなもとても楽しかったという反応が返ってきます。逆に聞こえる人も「新鮮で面白かった。」「手話を使ってコミュニケーションができた。」「すごいね」って、いい反応が返ってきます。なので、やって良かったと思います

山田-いいですね。私は、普段ラジオ。ラジオ局でね、仕事をしていると、どうしても音とか声だけで 皆さんに情報をお伝えするという仕事になってしまうんですけれども、イベントの司会をすることもありますから、そういう時に、自分が手話を使って皆様に一緒に伝えることができれば、 聞こえる聞こえない関係なく、みんなが楽しめるイベントになるのかなというふうに思います。ちょっと改めてね、あの、手話、勉強してみたいなって感じましたね。

倉又-ありがとうございます。見えるラジオというか、そうなるといいですね。
もしその企画をやるんでしたら、ぜひ私を使ってください。

山田―ぜひよろしくお願いしたいです。はい。 そしてですね、やっぱりそういった活動をこう続けていくと、どうでしょうか、あの手話がこう、だんだん浸透してきたなという感覚はありますか。

倉又―そうですね。今年度の手話入門講座に大勢申し込みがあったというふうに聞きました。
私の手話ワークショップがきっかけで、もっと手話を学びたいと思って通っていますという方もいらっしゃいます。なので、 その人の気持ちを変えられたということがとても良かったなと思います。

山田―そうですね。ほんとにそうだと思いました。この活動、実は昨年の1月に始動して、本格的に春からスタートしたと伺ってます。 およそ1年の間でだいぶ、長岡の中も変化があるっていうのは、素晴らしい活動だなというふうに思いますね。

♪ジングル
つながる つながる! 倉又司はのびのび楽しい手話でつながる!

=本編=
田中-はい、倉又さん、たくさんいろんなお話ありがとうございました。倉又さんがこれからやりたいことなど教えてください。

倉又-みんなが手話で楽しめる企画を考えたいと思っています。そのためには皆さんの応援が必要なので、ぜひぜひ応援、サポートよろしくお願いしたいと思います。
主にinstagramで発信をしています。名前はのびのびカフェですので、 のびのびカフェで検索をしていただければ見ていただくことができると思います。その動画の中に、オレンジ色の帽子をかぶった変なおじさんがいます。それが私です。

山田―いや、とっても素敵なお兄さんだと思います。今年の春には、居場所としてのカフェというものも、始まっていくなんて話も聞いたんですけれども、この辺りも聞かせてもらってよろしいですか。

倉又-はい。株式会社鈴木コーヒーさんからお話がありまして、鈴木コーヒーの支援を受けながら、長岡市でカフェを オープンさせるための活動を今しているところです。
カフェは聞こえる聞こえない関係なく、誰でものびのびと過ごせる居場所になるように、それを目指して頑張っています。

山田-さあ、田中さん、ここまでお話聞いてみていかがですか。

田中-はい。よくこう皆さんが想像するところで、例えば1人で英語がわからないけど海外に行くのって不安じゃないですか。それってやっぱり言語がわからないからだと思うんですけど、 それと手話ってこう似てるところがあるのかなというふうに思っていて。ちょっとでも気になった方が倉又さんのこうワークショップだったり、倉又さんに会いに行ってみてほしいなというふうに思います。
約1年間、倉又さんと色々お話させていただく機会があった中で、常に倉又さんが自分はこれがやっぱり必要だから、こういうことをしたいっていうのを、言っている印象があったんですよね。
どうして必要なのかっていうのをちゃんと伝えることって、やっぱり何を続けるにも、始めるにも大事なことだなと改めて思いました。

山田―そうですよね。倉又さんご自身も、活動を続けていく中で、「あなたにはできないんじゃないの」って、心ない言葉をかけられたこともあったんだそうです。それでも、やっぱり楽しいから、手話をどんどん普及させていきたいからって思いでね、ここまで活動を続けていらっしゃいました。
それをまたきっかけにして、手話がこう広がっているっていう現状もあるので、ぜひ楽しんで、その1歩をね、踏み出してもらいたいと思います。
今日はですね、のびのびカフェ代表の倉又司さん、ご紹介させていただきました。本当にありがとうございました。

倉又-ありがとうございました。

山田―このコーナーはながおか市民協働センターの提供でお送りしました。